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現代を斬る~時評と考察

世相を描いた文章と雑談から、政治と宗教の現実を読み解き、考察のヒントを探ります。

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奇跡に理由あり? 彼は米国再生・日本自立の“切り札”となるか 

➡Foresight 「ミシガンの異変」

  米大統領選の激戦州ペンシルベニア州で7日、共和党のドナルド・トランプ候補が選挙集会に選んだのは、人口の8割超が白人で産業が衰退しているスクラントンだった。集会が映し出したのは、トランプ氏躍進の原動力となった米国社会の陰影そのものだった。午後6時過ぎにトランプ氏が会場に姿を見せると、5000人近い観衆が雄叫びを上げた。「米国を再び偉大にしよう!」まるでロック音楽のコンサート会場のような騒々しさだ。にこやかに壇上に立ったトランプ氏の舌鋒は冴えていた。「ウォール街と結託するクリントン候補は邪悪だ!」「米ニューヨーク・タイムズ紙は破綻する!」

  反対陣営に対する徹底したネガティブ・キャンペーン。しかし観衆の心には強く訴えかけたようだ。「力強い言葉に感銘を受けた。既存の政治家では現状をよくすることはできない」販売員のマディーナ・ホルニクさんが語る。フィラデルフィアから車で北へ2時間、スクラントンはかつて炭鉱と鉄鋼の町として栄えた。戦後合成繊維やテレビの組み立てで町興しを狙ったが、海外勢に敗退。住民の多くが隣州のニューヨークに移った。現在の人口は約7万6000人だが、経済停滞が本格化した1970年ごろからみれば、4分の1も減った。近年は年金債務が市の財政が悪化し、破綻申請を検討しているという。

  トランプ氏は40分弱の演説で、積年の不満を抱える市民に訴えかけた。トランプ氏が「悪」とみなしたのは、移民や非白人に手厚い医療保険制度改革(オバマケア)、低技能職に就く移民受け入れ制度、輸出攻勢をかけるアジア勢を利する自由貿易の枠組みなどだ。いずれも、白人労働階級の職を奪うか、支出だけを増やした。国民を苦しめる「悪」があるなら、私がその「悪」を懲らしめるから、国民の生活は楽になる。トランプ氏は得意とする三段論法的な勧善懲悪論を展開した。例えば地球温暖化対策はお金の無駄遣いと断じ、その費用を社会資本に回すことで、鉄鋼の町であるスクラントンに雇用を取り戻すと訴えた。

  共和党候補は1988年以来、ペンシルベニア州で勝っていない。トランプ氏も一時はクリントン氏に10ポイント以上の差をつけられたが、最近になって4ポイント前後まで差を縮めた。同氏の私用メール問題に加えて、斜陽の工業地帯に耳触りがよいトランプ氏の文句が受けたのだ。近郊に住む元警察官、フランク・オサリバンさんは「何故暮らしが楽にならないのか」と日々悩んでいる。もともとは民主党支持者で2012年はオバマ大統領に投票したが、今回はトランプ氏に一票を投じる予定だ。米国社会の歪みに乗じたトランプ氏、その支持層は最後まで白人を中心とする瓦解した中間層だった。
(産経ニュース、11月8日)

  ついに「驚くべき日」がやってきた。シリア難民の大規模流入をきっかけに欧州を席巻した排外主義と一体化した反グローバリズムの大波は、英国に欧州連合(EU)からの離脱を決意させ、米国のエスタブリッシュメント(支配階層)を直撃した。いや、打ち砕いたといっても過言ではない。

  トランプ氏勝利で日本の株価は暴落し、円が急騰したのもむべなるかな。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のお蔵入りが確定的となったばかりか、日本の安全保障の先行きも「日本がタダ乗りしている」と日米安保を誤解する米最高司令官の登場によって予見不能となった。

  蛇足ながら、日本の外務省はまたも下手を打った。先月から今月にかけて話を聞いた高官や有力OBの誰一人として「トランプ大統領」を予測していなかった。某高官などは「接戦ですらない」とまで断言していた。外務省の楽観的な見通しも後押ししたであろう、9月の安倍晋三首相とクリントン候補との会談は失策としか言いようがない。彼らの予測のもとになった各種世論調査は何の役にも立たず、クリントン候補に異様なまでに肩入れした米メディアがいかに嘆こうが、賽は投げられたのだ。

  だがモノは考えようである。トランプ大統領でいいじゃないか。トランプ流の「在日米軍の駐留経費を全部出せ」といったむき出しの本音には、日本も本音で向き合えばいいのである。大統領になったらそんな無茶な要求はしないだろう、という幻想は捨てなければならない。いよいよ米軍が撤退する、となれば自衛隊の装備を大増強すればいい。その際は自前の空母保有も選択肢となり、内需拡大も期待できる。

  沖縄の基地問題だって解決に向かうかもしれない。トランプ氏が“容認”する日本の核兵器保持は唯一の被爆国という国民感情が強く現実的ではないが、中国をにらんだ外交カードとしては有効だ。TPPも米国抜きで発効させる方策を真剣に検討していい。日米安保体制の枠内で憲法9条がどうの、安保法制がどうの、といったことが大問題となった牧歌的な世界はもはや過去となった。日本も米国に軍事でも経済でも過度に依存しない「偉大な国」を目指せばいいだけの話である。
(同、11月9日)

  昭和63(1988)年に日本のテレビ番組でドナルド・トランプ氏にインタビュー取材した一橋大学非常勤講師の植山周一郎氏(71)=グローバルビジネス論=は、選挙戦での過激な暴言について、「勝つための戦術だったのではないか」と指摘した。トランプ氏は取材当時、日米貿易が米国に不利だと言及した上で「(いい条件を設定できる)日本人は米国人より頭がいい。尊敬する」と持ち上げたという。

  植山氏は「理路整然と主張しつつ、相手の顔を立てる気配りの人」と評価する。テレビ中継されたトランプ氏の勝利宣言については、「最初に相手陣営の健闘を称えるなど、もう大統領然とした余裕を醸し出している。既に好印象を持たれるよう戦略的に気を使っている」と分析した。今後トランプ氏は選挙戦で主張した安全保障への負担増と貿易不均衡の是正を日本に求めるとみられる。植山氏は「過激な主張を押し通すようなことはせず、冷静に落としどころを探ると思う。そのとき、同じ土俵で交渉できる政治家が日本にはいないのではないか」と、したたかな手腕へ危機感を募らせた。
(同)

➡リテラ)  各州僅差をトランプ陣営が手堅く上回り、ミシガン・ペンシルバニアはほんと数万票差ですからこれらすべてをヒラリー陣営が取る可能性があったわけで、南北戦争ならぬ庶民の内陸部と都会の沿岸部との接戦でしたが、総得票数はヒラリー、各州勝者総取り方式ではトランプとなりました。陣営の選対参謀の戦略の妙だとしたらこれは凄いことですが、やはりマネーの専門家・トランプ候補が格差社会の因果と現状を見つめ続けた長き熟慮と行動がこのような形で結実したのかも知れません。両陣営ともに大健闘、本当にお疲れさまでした(大拍手!)。そしてトランプ陣営の皆さん、画期的な新大統領の誕生、本当におめでとうございます。

  オバマが就任した時、初の黒人大統領ということもあり、日本の書店にも戦争国家アメリカもこれで福祉国家になるみたいな本が並びました。現在オバマの尽力・功績はたしかに多大ですが、反面師匠筋の思想的急進性も相俟って、保守=戦争=汚職に替わる新政権の内実に、グローバル化を進めるのか、いや血の通った人間存在の幸福が先だという選択肢に分かれ、今回僅差で後者が勝ったようにも観えます。さらに若き日に共和党のゴールドウォーター女子を務めたヒラリーと、民主党に支持献金し、自身の挙式にクリントン夫妻を招いたトランプとのねじれ構造も思わせました。日米のリベラルともにに多様性包摂を隠れ蓑にした弱者切り捨て・社会淘汰の思想が潜んでいないか、女性・黒人・LGBT尊重!の掛け声のウラでグローバリズムで社会を淘汰してしまえ!という謀略や欺瞞がないか、大いに反省・点検していただきたい。

  原発でもTPPでも、小沢問題でもトランプ批判でもそうですが、まず結論先にありきで異論を抑圧して絶対認めない、一方的なレッテルを貼ってプロパガンダを繰り返し続けるというのはまともな人間ならこれ訝しむのは当然で、本当にいいものなら相手の判断に委ねて目の前に置いてやればむこうからそれを手に取るでしょう。それができないというのは疚しい原因を隠していると見られても仕方がありません。こんな一方的で抑圧的なやり方は必ずつよい反動を生むものです。こんな現状で我々は自由主義な民主国家で全体主義は敵だ!なんてちゃんちゃらおかしく、まず自国の民主主義の健全化に傾注すべきです。

  オバマ就任のスピーチは英語教材に多く取り上げられましたね。キング牧師のエピソードも英語教科書でありました。でこれも昔、南平台にアパレルの派遣バイトで行ったとき、近所にシドニィ・シェルダンの翻訳書やハリウッドスターが吹き込んだ英語教材の全面広告でおなじみの会社の看板が、藁ぶき屋根の小さな平屋(茶室?)の前に立っていて、こんなところにと驚いた記憶があります。

 まあこれは脱線・余談でしたが、カワイ補佐官に先んじて渡米した亀ちゃん、どうしてるのかな…まさか「オザワとシンタローはこの俺が抑えた! 頼む、シンゾーの次はこの俺を総理にしてくれ! 何でもするから…」とか泣きついてるんじゃないでしょうね まったくw 冗談はさておき、TPP粉砕、沖縄負担軽減、自立外交の千載一遇の好機が到来しましたが、ここを拙速や舞い上がりで進めてはかえって悪くなる可能性も存在します。ここは与野党ともに人間存在の本質に立ち返り、熟慮と慎重の上で地に足をつけた現実的対応がつよく、切実に求められています。
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Author:時示郎
宗教批判を切り口に政治社会を眺める素人のつぶやきです。東日本大震災の被災者の皆さまには謹んでお見舞いを申し上げます。


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