FC2ブログ

奇跡に理由あり? 彼は米国再生・日本自立の“切り札”となるか 

2016.11.10(07:55)

➡Foresight 「ミシガンの異変」

  米大統領選の激戦州ペンシルベニア州で7日、共和党のドナルド・トランプ候補が選挙集会に選んだのは、人口の8割超が白人で産業が衰退しているスクラントンだった。集会が映し出したのは、トランプ氏躍進の原動力となった米国社会の陰影そのものだった。午後6時過ぎにトランプ氏が会場に姿を見せると、5000人近い観衆が雄叫びを上げた。「米国を再び偉大にしよう!」まるでロック音楽のコンサート会場のような騒々しさだ。にこやかに壇上に立ったトランプ氏の舌鋒は冴えていた。「ウォール街と結託するクリントン候補は邪悪だ!」「米ニューヨーク・タイムズ紙は破綻する!」

  反対陣営に対する徹底したネガティブ・キャンペーン。しかし観衆の心には強く訴えかけたようだ。「力強い言葉に感銘を受けた。既存の政治家では現状をよくすることはできない」販売員のマディーナ・ホルニクさんが語る。フィラデルフィアから車で北へ2時間、スクラントンはかつて炭鉱と鉄鋼の町として栄えた。戦後合成繊維やテレビの組み立てで町興しを狙ったが、海外勢に敗退。住民の多くが隣州のニューヨークに移った。現在の人口は約7万6000人だが、経済停滞が本格化した1970年ごろからみれば、4分の1も減った。近年は年金債務が市の財政が悪化し、破綻申請を検討しているという。

  トランプ氏は40分弱の演説で、積年の不満を抱える市民に訴えかけた。トランプ氏が「悪」とみなしたのは、移民や非白人に手厚い医療保険制度改革(オバマケア)、低技能職に就く移民受け入れ制度、輸出攻勢をかけるアジア勢を利する自由貿易の枠組みなどだ。いずれも、白人労働階級の職を奪うか、支出だけを増やした。国民を苦しめる「悪」があるなら、私がその「悪」を懲らしめるから、国民の生活は楽になる。トランプ氏は得意とする三段論法的な勧善懲悪論を展開した。例えば地球温暖化対策はお金の無駄遣いと断じ、その費用を社会資本に回すことで、鉄鋼の町であるスクラントンに雇用を取り戻すと訴えた。

  共和党候補は1988年以来、ペンシルベニア州で勝っていない。トランプ氏も一時はクリントン氏に10ポイント以上の差をつけられたが、最近になって4ポイント前後まで差を縮めた。同氏の私用メール問題に加えて、斜陽の工業地帯に耳触りがよいトランプ氏の文句が受けたのだ。近郊に住む元警察官、フランク・オサリバンさんは「何故暮らしが楽にならないのか」と日々悩んでいる。もともとは民主党支持者で2012年はオバマ大統領に投票したが、今回はトランプ氏に一票を投じる予定だ。米国社会の歪みに乗じたトランプ氏、その支持層は最後まで白人を中心とする瓦解した中間層だった。
(産経ニュース、11月8日)

  ついに「驚くべき日」がやってきた。シリア難民の大規模流入をきっかけに欧州を席巻した排外主義と一体化した反グローバリズムの大波は、英国に欧州連合(EU)からの離脱を決意させ、米国のエスタブリッシュメント(支配階層)を直撃した。いや、打ち砕いたといっても過言ではない。

  トランプ氏勝利で日本の株価は暴落し、円が急騰したのもむべなるかな。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のお蔵入りが確定的となったばかりか、日本の安全保障の先行きも「日本がタダ乗りしている」と日米安保を誤解する米最高司令官の登場によって予見不能となった。

  蛇足ながら、日本の外務省はまたも下手を打った。先月から今月にかけて話を聞いた高官や有力OBの誰一人として「トランプ大統領」を予測していなかった。某高官などは「接戦ですらない」とまで断言していた。外務省の楽観的な見通しも後押ししたであろう、9月の安倍晋三首相とクリントン候補との会談は失策としか言いようがない。彼らの予測のもとになった各種世論調査は何の役にも立たず、クリントン候補に異様なまでに肩入れした米メディアがいかに嘆こうが、賽は投げられたのだ。

  だがモノは考えようである。トランプ大統領でいいじゃないか。トランプ流の「在日米軍の駐留経費を全部出せ」といったむき出しの本音には、日本も本音で向き合えばいいのである。大統領になったらそんな無茶な要求はしないだろう、という幻想は捨てなければならない。いよいよ米軍が撤退する、となれば自衛隊の装備を大増強すればいい。その際は自前の空母保有も選択肢となり、内需拡大も期待できる。

  沖縄の基地問題だって解決に向かうかもしれない。トランプ氏が“容認”する日本の核兵器保持は唯一の被爆国という国民感情が強く現実的ではないが、中国をにらんだ外交カードとしては有効だ。TPPも米国抜きで発効させる方策を真剣に検討していい。日米安保体制の枠内で憲法9条がどうの、安保法制がどうの、といったことが大問題となった牧歌的な世界はもはや過去となった。日本も米国に軍事でも経済でも過度に依存しない「偉大な国」を目指せばいいだけの話である。
(同、11月9日)

  昭和63(1988)年に日本のテレビ番組でドナルド・トランプ氏にインタビュー取材した一橋大学非常勤講師の植山周一郎氏(71)=グローバルビジネス論=は、選挙戦での過激な暴言について、「勝つための戦術だったのではないか」と指摘した。トランプ氏は取材当時、日米貿易が米国に不利だと言及した上で「(いい条件を設定できる)日本人は米国人より頭がいい。尊敬する」と持ち上げたという。

  植山氏は「理路整然と主張しつつ、相手の顔を立てる気配りの人」と評価する。テレビ中継されたトランプ氏の勝利宣言については、「最初に相手陣営の健闘を称えるなど、もう大統領然とした余裕を醸し出している。既に好印象を持たれるよう戦略的に気を使っている」と分析した。今後トランプ氏は選挙戦で主張した安全保障への負担増と貿易不均衡の是正を日本に求めるとみられる。植山氏は「過激な主張を押し通すようなことはせず、冷静に落としどころを探ると思う。そのとき、同じ土俵で交渉できる政治家が日本にはいないのではないか」と、したたかな手腕へ危機感を募らせた。
(同)

➡リテラ)  各州僅差をトランプ陣営が手堅く上回り、ミシガン・ペンシルバニアはほんと数万票差ですからこれらすべてをヒラリー陣営が取る可能性があったわけで、南北戦争ならぬ庶民の内陸部と都会の沿岸部との接戦でしたが、総得票数はヒラリー、各州勝者総取り方式ではトランプとなりました。陣営の選対参謀の戦略の妙だとしたらこれは凄いことですが、やはりマネーの専門家・トランプ候補が格差社会の因果と現状を見つめ続けた長き熟慮と行動がこのような形で結実したのかも知れません。両陣営ともに大健闘、本当にお疲れさまでした(大拍手!)。そしてトランプ陣営の皆さん、画期的な新大統領の誕生、本当におめでとうございます。

  オバマが就任した時、初の黒人大統領ということもあり、日本の書店にも戦争国家アメリカもこれで福祉国家になるみたいな本が並びました。現在オバマの尽力・功績はたしかに多大ですが、反面師匠筋の思想的急進性も相俟って、保守=戦争=汚職に替わる新政権の内実に、グローバル化を進めるのか、いや血の通った人間存在の幸福が先だという選択肢に分かれ、今回僅差で後者が勝ったようにも観えます。さらに若き日に共和党のゴールドウォーター女子を務めたヒラリーと、民主党に支持献金し、自身の挙式にクリントン夫妻を招いたトランプとのねじれ構造も思わせました。日米のリベラルともにに多様性包摂を隠れ蓑にした弱者切り捨て・社会淘汰の思想が潜んでいないか、女性・黒人・LGBT尊重!の掛け声のウラでグローバリズムで社会を淘汰してしまえ!という謀略や欺瞞がないか、大いに反省・点検していただきたい。

  原発でもTPPでも、小沢問題でもトランプ批判でもそうですが、まず結論先にありきで異論を抑圧して絶対認めない、一方的なレッテルを貼ってプロパガンダを繰り返し続けるというのはまともな人間ならこれ訝しむのは当然で、本当にいいものなら相手の判断に委ねて目の前に置いてやればむこうからそれを手に取るでしょう。それができないというのは疚しい原因を隠していると見られても仕方がありません。こんな一方的で抑圧的なやり方は必ずつよい反動を生むものです。こんな現状で我々は自由主義な民主国家で全体主義は敵だ!なんてちゃんちゃらおかしく、まず自国の民主主義の健全化に傾注すべきです。

  オバマ就任のスピーチは英語教材に多く取り上げられましたね。キング牧師のエピソードも英語教科書でありました。でこれも昔、南平台にアパレルの派遣バイトで行ったとき、近所にシドニィ・シェルダンの翻訳書やハリウッドスターが吹き込んだ英語教材の全面広告でおなじみの会社の看板が、藁ぶき屋根の小さな平屋(茶室?)の前に立っていて、こんなところにと驚いた記憶があります。

 まあこれは脱線・余談でしたが、カワイ補佐官に先んじて渡米した亀ちゃん、どうしてるのかな…まさか「オザワとシンタローはこの俺が抑えた! 頼む、シンゾーの次はこの俺を総理にしてくれ! 何でもするから…」とか泣きついてるんじゃないでしょうね まったくw 冗談はさておき、TPP粉砕、沖縄負担軽減、自立外交の千載一遇の好機が到来しましたが、ここを拙速や舞い上がりで進めてはかえって悪くなる可能性も存在します。ここは与野党ともに人間存在の本質に立ち返り、熟慮と慎重の上で地に足をつけた現実的対応がつよく、切実に求められています。
スポンサーサイト

韓国「救国奉仕団」政権の激震

2016.11.01(16:52)

  朴槿恵(パク・クネ)大統領の側近問題が韓国政界を揺るがしている。公的な肩書すらない謎の人物が、大統領官邸で密かに権力を振るっているのではという疑惑だ。11月末に現地紙「世界日報」が、独自入手した官邸の内部報告書を公開。そこには謎の人物=鄭允会(チョン・ユンフェ)氏が、現職の秘書官らと共謀して官邸人事に介入しようとしたことが記されている。官僚人事をはじめ大統領個人に権力が集中する韓国だけに「黒幕」報道に対する注目度は極めて高い。韓国事情に詳しいノンフィクション・ライターの高月靖氏がリポートする。

  謎の人物が大統領官邸で密かに権力を振るっているのではないか? この報道に対する朴政権の反応は激しい。官邸は報道が出たその日に、世界日報社長や記事を書いた記者ら6人を名誉毀損で告訴。内部報告書は事実無根で怪文書レベルと切り捨てた。しかし、報告書の作成を指示した元官邸秘書官は韓国紙の取材に「信憑性は6~7割」とし、鄭氏と官邸幹部のつながりを改めて示唆している。鄭氏は10日、ソウル中央地検に出頭して事情聴取を受けた。その際、国政介入報道などに関して「事実ではない」「こんな火遊びを誰がやったのか、全て明らかになるだろう」と否定した。

  報告書の一部は、世界日報だけではなく、朴氏の実弟で鉄鋼関連会社の会長を務める朴志晩(パク・チマン)氏にも渡った疑いがあり、地検は15日、経緯を確認するため志晩氏も聴取した。疑惑の視線が注がれる鄭氏は、セウォル号事故発生時、朴氏との密会説が浮上した人物だ。「1998年から朴氏の立法補佐官や秘書室長を務めた。2002年に朴氏が訪朝した際にも同行したほどの側近だ。2004年以後は朴氏と公的な関係を絶ったとされるが、否定的な報道は多い」(現地日本人メディア関係者)目下“ナッツ副社長”問題で大揺れの大韓航空に勤務し、1990年代に中途退職した後は自営で飲食店を営んだという。

  これだけみると平凡な経歴だが、鄭氏は夫妻でソウルの一等地に数十億円規模の不動産を有するとされ、なぜか朴氏の側近にも起用された。この不自然な空白を埋めるのが、鄭氏の義父(妻の父)で、1994年に没した崔太敏(チェ・テミン)牧師だとされる。「朴氏が予備選で李明博(イ・ミョンバク)氏に敗れた2007年の大統領選で、その身辺を巡る報道が過熱した。当時の疑惑の本命は鄭氏でなく、義父の故・崔牧師。鄭氏は単にその娘婿、つまり朴氏を取り巻く崔一族の1人という位置づけだった」(先の関係者)当時も朴氏は、崔牧師関連の疑惑を提起した人物を即座に告訴。20億ウォン(約2億円)の賠償請求訴訟も起こしている。崔牧師とは一体、何者なのか。

  6回結婚して7つの名を持ったともいわれるが、その生涯は謎が多い。現地報道によれば、戦前戦後にかけて警察官を務めた後、朴氏の父・朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代の1961年に与党中央委員まで上りつめた。だが、間もなく失脚し、仏教とキリスト教を統合したと称する新興宗教を始める。朴氏との出会いは75年。一説では、前年にテロで母親を失った20代前半の朴氏に「お母様が夢に出てこられた」と近づいたという。崔牧師は教団を反共団体的な「救国宣教団」に改め、その行事には朴氏も盛んに出席した。

  朴氏は70年代後半から社会奉仕活動に乗り出すが、その主体となった奉仕団体「救国女性奉仕団」などは崔牧師と朴氏がそろって総裁、名誉総裁などを務めている。崔牧師の秘書だったこともあるという鄭氏。崔牧師の娘とは今年離婚したが、12月に入って鄭氏の元妻=崔牧師の五女こそ黒幕ではとも報じられた。さらに5日には、韓国文化体育観光部(文科省に相当)の元閣僚から爆弾発言が飛び出した。鄭氏夫妻が乗馬選手の娘を国家代表に選抜するよう関係者に圧力をかけたという疑惑をめぐって、朴氏がこれと関連して文化体育観光部職員の人事異動を命じた疑いが指摘されたのだ。

  韓国の世論調査機関「リアルメーター」が10日に発表した朴氏の支持率は、2013年2月の就任以来、初の30%台に落ち込んだ。4月のセウォル号沈没事故の直後、同社による朴氏の支持率調査は下落しながらも50%を割らなかっただけに、いかに国政介入疑惑の痛手が大きいかがわかる。内部文書や閣僚の証言で次々に飛び火する黒幕疑惑は、今後さらに過熱しそうな気配をみせている。
(夕刊フジ、2014年12月22日)

  レームダック(死に体)状態の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領にとどめを差すかもしれない疑惑が浮上した。朴氏の友人女性が、大統領の演説文などを発表前に入手していたことを韓国のJTBCテレビが報じた。女性は大統領府とは関係がなく、一私人が政権運営に影響を及ぼしていた疑いが強まったことで、朴政権最大のスキャンダルに発展する可能性もある。韓国では25日、保守系の有力紙、中央日報が1面で大々的に報じた。

  今後は提供の事実を把握していたかを含め、朴大統領の関与が焦点となりそうだ。問題の女性は崔順実(チェ・スンシル)氏。朴氏の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が存命中の1970年代、朴親子に近かった崔太敏(チェ・テミン)牧師の娘だ。崔順実氏は79年の朴正煕氏暗殺後、失意のうちに大統領府を後にした20代後半の朴槿恵氏の話し相手になったとされ、以前から朴氏と親密な関係を築いてきた。旅客船セウォル号沈没事故の当日に、「朴氏と密会していた」という根拠のない噂も出た朴氏の元側近、鄭允会(チョン・ユンフェ)氏は元夫だった。

  報道によると、JTBCは崔氏のパソコンデータを分析した結果、朴氏の演説文などに関するファイルが44個含まれていたという。これらは公式発表前に崔氏のコンピューターに保存されていたとみられる。崔氏の側近は同局のインタビューに対し、「崔氏が特に得意なのが大統領の演説文を修正すること」と話しており、崔氏が朴氏の演説内容を変更させていた疑いも考えられる。崔氏をめぐっては、韓国財界の資金提供で設立されたスポーツ・文化支援を目的とする財団を私物化したという疑惑も持ち上がっている。朴氏は24日、国会での施政方針演説で、大統領の任期を5年とし再選を禁じた憲法を改正する意向を突然示したが、崔氏らの疑惑を隠すためではないかとの見方も示されている。
(同、2016年10月26日)

 韓国政治は政治・軍事・宗教が密接に絡み合い、漢字名も日本語読みとハングル読みがごっちゃになってもうわけがわからなくなるんですね。まずセウォル号沈没当時の空白の7時間密会説とイケメンな元側近、鄭允会氏との関連記事を紹介した加藤達也産経前ソウル支局長が2014年夏に出国停止と出頭要請を受け、名誉棄損で裁判まで行ったわけです。結局この風聞の真偽はさておき、これは朴槿恵大統領とそのお母さん(朴正煕大統領の奥さん)である陸英修(ユク・ヨンス)夫人を偲ぶ政治団体「救国奉仕団」、ここは朴槿恵大統領と崔太敏一家のツートップの宗教組織?とのつながりを仄めかす存在ではあったわけです。でセウォル号事故当時話題になった鄭允会氏と、崔太敏牧師(教祖さま?)の娘さんで今回韓国当局に逮捕された崔順実氏は、いまは別れてはいますが元ご夫婦であったということ。ご両親をテロで亡くされて信じられるのは宗教一家のみという心境だったのかも知れませんが、それだけが頼みのよすがだったとしたら民主主義国家の政権基盤としては余りにも脆弱だと言わざるを得ません。北朝鮮方面との外交・防衛へも配慮の上での今回の国政介入での逮捕劇でしたが、隣国としてはこれで韓国という船の向きがどちらに振れるのか、注視せざるを得ないところです。

2016年11月

  1. 奇跡に理由あり? 彼は米国再生・日本自立の“切り札”となるか (11/10)
  2. 韓国「救国奉仕団」政権の激震(11/01)
ルミガン効果